「北の黄金」田中光二 徳間文庫
寛文9年、アイヌと和人が交易を始めたばかりの時代。魔の山に眠る金山を求めて
幕府隠密千早武四郎一行は蝦夷地北海道へ踏み込む。舞台設定や主人公は時代小説
のものでもこれは冒険小説、それも今時珍しいオーソドックスな秘境冒険活劇
である。田中光二は過去に秘境冒険小説を幾度も書いてきた作家でお膳立ては
しっかりと揃っている。なのに作品の分量が少なく文章が軽いから冒険小説の
重厚さ、醍醐味がなくてさびしい。仕掛けが膨らんでいかずコンパクトなまとまりを
見せただけで終わってしまう。文庫書下しで本格的な冒険小説を期待するのはやはり
無理だったか。題材は良いと思うんだけどなあ。活きの良い魚が回転寿司に変わって
いくのを見たような気分だ。
「ハウルの動く城」日本テレビ 金曜特別ロードショー
宮崎駿脚本・監督。今夜の放映で初見。「もののけ姫」以降、宮崎駿作品からは
「物語の面白さ」より「メッセージ性」を優先する傾向が出てきたように思う。
前作「千と千尋の神隠し」は一回目観たときは受け入れがたく二回目を観てやっと
好きになれた映画だ。「ハウルの動く城」はお話がよく判らない上、訴えようとする
メッセージすら判らなかった。美術の美しさ、繊細な演出はさすがで目を見張る。
しかし部分部分の面白さが一本の太い流れにならないのは問題だ。呪いで老婆に
姿を変えられた少女ソフィーと魔法使いハウル、二人の恋愛がこの作品の芯に
なっている。ソフィーがハウルをいつ、なぜ好きになったかが全く描写されず肝心な
部分に感情移入が出来ない。若返ったり老けたり繰り返すソフィーの動画は良くても
倍賞千恵子の声が老若を演じきれていない。ハウルの声は木村拓哉、一本調子なので
キャラクターがはっきりしない。魔法と科学が混在した世界の戦争を変えていくのが
二人の愛なのに、恋愛ドラマがしっかりしていないので盛り上がりに欠ける。それに
この作品、舞台背景の説明を省略していて理解しにくい。終盤、ソフィーが奮闘して
ハウルを救おうとしたって他人事に見えてしまう。そして取ってつけたような強引
極まるラスト。これまでの宮崎アニメにあった世界を見せる力強さ、物語を語ろうと
する意思。これがすっぽり抜け落ちている。嫌な予感がして劇場では観なかったが
宮崎監督作品を観て「あとに何も残らない」というのは初めてだ。スタジオジブリ
最新作、宮崎吾朗監督「ゲド戦記」が現在、公開中。あまり良い評判を聞かないので
観に行く気は今のところ全くない。
第135回直木賞・芥川賞発表
第135回直木賞は三浦さんと森さんに決定!
(平成18年度上半期)
第135回直木三十五賞の選考委員会が、平成十八年七月十三日(木)午後五時より、築地・新喜楽で開かれ、下記候補作品の中から三浦しをんさんの「まほろ駅前多田便利軒」森絵都さんの「風に舞いあがるビニールシート」が授賞作に決まりました。
第135回芥川賞は伊藤たかみさんに決定!
(平成18年度上半期)
第135回芥川龍之介賞の選考委員会が、平成十八年七月十三日(木)午後五時より、築地・新喜楽で開かれ、下記候補作品の中から伊藤たかみさんの「八月の路上に捨てる」に決まりました。
森絵都「風に舞いあがるビニールシート」は発売当日に買って読んだ。読んですぐに
感想をここに書いておくべきだった。気力が落ちてる時期にいろいろと考えさせられた
一冊である。賞を獲った獲らないに関わらず森絵都の作品は読み続けていくと思う。
もう一人、好きな作家で伊坂幸太郎の「砂漠」が直木賞候補に上がっていた。落選した
ことに少しホッとしている。「砂漠」はまだ読んでなかったからなー。
カブトエビの かんさつ日記①
「2年の科学」本誌に綴じ込み付録でかんさつ日記は付いているけれど、せっかくなので
このダイアリーで記録していきます。これはこれでブログというものの正しい使い方
ではあると思う。飼育セットに水を入れ、カブトエビの卵と水草の種を蒔いて3日目。
水槽を自分の部屋から庭に持っていき、植木の間に置いてみた。水草は一週間位で
芽が出ると説明に書いてあったのに、もう芽が出ている。水槽の中では元気に体を
くねらせて数匹が泳いでいます。明らかにボウフラだと判る生き物が。
カブトエビは恐竜時代から居たそうだがボウフラはいつから居たんだろうな。何日位で
蚊になるのかよく知らん…おれはボウフラの観察がしたいんじゃないんだよ!
カブトエビはどうなったんだ。2〜5日で生まれるらしいので、まだ生まれてないのか
小さすぎて見えないのか?それともセットの仕方が悪くて生まれてこないのか?
汲み置きの水使って説明書通りにしたんだがなー。まだ様子を見るしかないようだ。
少なくともこのまま蚊の繁殖に協力しただけになるのは絶対に避けたい。
「フライトプラン」
急死した夫の遺体を飛行機で運ぶカイル。しかし、一緒に乗ったはずの娘が、機内で行方不明に…。乗務員や他の客たちは、娘がいなかったと証言。乗客リストにも名前が残っておらず、娘の荷物も消えているという衝撃サスペンス。ジョディ・フォスターが、自分の記憶を信じ、必死に娘を探すカイルを演じる。
映画の前半は「結末がどうなるのか?」という謎に翻弄されるドキドキの展開。すべてはカイルの妄想かとも思わせるが、機内の怪しげな人物、乗務員の不可解な言動、さらに正体を隠して乗り込んでいる捜査官の存在や、ジョディの迫真演技で、謎は深まるばかり。結末については、観る人によって意見が分かれるかもしれない。
ロベルト・シュヴェンケ監督。大阪府立青少年会館文化ホールの産経洋画Cinema上映会
で観賞。ここまでお話がガタガタな映画をスクリーンで観るのも久しぶり。機内で子供
一人が消失する設定には密室推理の趣向がある。しかしジョディ演じる母親が精神的に
不安定で薬を常用しているとか航空機設計士で飛行機内部に詳しいだとかは事件が
起きる前に伏線を張っておくもんじゃあねぇか?後出しのジャンケンみたいにワンテンポ遅れたこじつけとしか思えない展開が淡々と続く。はっきり言ってこの作品、
「先が読めない」というより「先が読めるわけがない」
ずーっと夜の機内だから薄暗いし、画面に活気がない。主演ジョディ・フォスターの
演技が屹立して異様にテンション高く、おかげでなんとか退屈せずに済むも演出との
温度差のみが冷たく伝わってくる。笑い飛ばして観ることすら出来やしない。娘が
消失するトリックがまず無理。犯人が立てた計画は偶然性に頼りすぎの思いつきで
無理。これを実行する神経が理解できない。ある程度まで成功してしまう展開がとても
信じられない。航空機設計士の癖に飛行機内を全力疾走し破壊行為に近い無茶苦茶を
したジョディ・フォスターが最後には真実を勝ち取る。ここだけは妙に納得。道理を
破って無理をごり押しした者勝ちだな、この映画。
海猫のギャラリー その10
本格的な夏が来る前に、おれはもう暑さでバテてしまっている。最近は運動不足だし
何かスポーツをやってみよう。泳ぐのならきっと涼しいからちょうど良いのでは
なかろうか?そんなわけで今日は出先の市民プールに行ってきた。25mと50mの二つの
プールがあり、泳いでるのは子供がほとんど。しかも空いている。平日に一人で来る
暇人はおれだけのようだ。ビキニ姿の女の子など当然いるはずがない。まあ、それで
良かろう。泳ぐのが目的なんだから。平泳ぎをやってみると全然前に進まない。背泳は
昔は出来たのに鼻に水が入って苦しい。クロールは何とか形になる。だが息継ぎが
上手く出来ない。しばらく練習したら直ってきたので50mを泳ぎきった。そうこう
してるうちに体操の時間になったので水から出た。何だ、この体の重さは?調子に
乗って無理をし過ぎたらしい。動悸がひどい。着替えてベンチで寝転んでたら
「大丈夫ですか?」と声を掛けられてしまう。帰りの電車では回復したので居眠りを
したら溺れて窒息する夢を見る。結局、夏バテが余計にひどくなってしまった。
ストレス発散のため勢いで絵を描いてみる。イメージは「古代の鳥」。アップする
気のない落書きだったが今日の気分が良く出たので晒してみよう。
まるで鳥が水に怯えているようだ。
はてなTシャツ欲しい!
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