「Always 三丁目の夕日」

ALWAYS 三丁目の夕日 豪華版 [DVD]
天王寺アポロシネマ8にて観賞。西岸良平の漫画「三丁目の夕日」を山崎貴監督が映画化
したもの。昭和33年、東京タワーがまだ建設中だった頃の東京。自動車修理販売工場の
「鈴木オート」を営む鈴木則文堤真一)と妻のトモエ(薬師丸ひろ子)一家の元に
集団就職で上京してきた少女・六子(堀北真希)がやってくる。「鈴木オート」向かいには
駄菓子屋の店主をしながら一流の小説家を目指し三流雑誌に児童冒険小説を連載している
青年・茶川竜ノ介(吉岡秀隆)が暮らしており何かと則文と反発しあっている。茶川竜ノ介
は酔った勢いで引き取り手のない少年・淳ノ介を世話することになり共同生活を始める。
家族思いで豪快な鈴木と内気なインテリ茶川、対照的な2人の生活を中心に夕日町三丁目の
人々のドラマが点景のように綴られていく。当時の上野駅、都電の走る大通りが再現されて
おりVFXのクオリティが高く、まず度肝を抜かれる。町の看板、ちょっとした小道具も作り
込まれ演出、役者陣の演技に活気があり冒頭から乗せられた。短いエピソードを積み重ねて
いく構成で一つ一つが丁寧に語られ劇場内は笑い声ともにじんわりと盛り上がってゆく。
子役たちの演技まで上手く堤真一の下町の親父っぷりに親しみを持った。薬師丸ひろ子
スクリーンで観るのも懐かしい気分になり奥さん役もコミカルで暖かみを感じる。くるくる
表情の変わる堀北真希が楽しくて可愛らしい。一昔前の日本にあった風景や人情をしみじみ
味わえる映画だがそれだけではない。ここにあるのは未来を夢見、明日を信じる人々の
物語だ。余韻に浸りながら劇場を出てきて存在するのが平成の世の中だったとしても
「きっと明日はいいことがある」そう思えるはずだ。これはそんな映画である。