「マチルダは小さな大天才」ロアルド・ダール 評論社

マチルダは小さな大天才 (ロアルド・ダールコレクション 16)
以前「グース」という映画について書いた記事のコメント欄で「マチルダ」という映画を
id:seiitiさんに紹介していただいたことがある。以来ずっと気になって探していたら大阪
日本橋の中古ビデオ店で発見し100円で購入。「チョコレート工場の秘密」を読んでから
ダールの児童小説をもっと読みたくなり本屋で「マチルダは小さな天才」を同じ日に
買った。家に帰ってからこの本と映画「マチルダ」が原作と映画化作品という関係に気付き
驚いた。タイトルが被ってるとは思ってたんだけどね。素敵な巡りあわせのおかげで本と
映画をいっぺんに楽しめることになった。まずはダールの小説から読んでみる。マチルダ
5歳にして有名な文学作品を読みこなす天才少女。ところが両親はそんな彼女を理解せず
馬鹿にするばかり。学校にあがれば横暴な女校長が生徒を牛耳っている。マチルダは天才的
頭脳と突如目覚めた不思議な力を駆使して無理解な大人たちに反撃を開始する。出てくる
人物は極端にコミカルなデフォルメをされていて女校長ミス・トランチブルの怪物っぷりは
大人が読んでも猛烈な恐ろしさ。ハンマー投げの要領で生徒を窓からぶん投げるっていう
のが凄い。どきつめの人物の中でマチルダは頭が良くても鼻にかけることなく素直で
愛らしく、本好きっていうのが嬉しくなる。彼女が両親や女校長に仕掛ける仕返しは
イデアが一杯でとても面白い。驚く大人たちのリアクションがオーバーで動きが目に
見えるようだ。それをクェンティン・ブレイクがひょうひょうとしたとぼけたタッチで
イラストにしているので可笑しさ倍増、笑った笑った。ナンセンスなユーモアの後ろには
チルダの冷えた家族関係、マチルダの理解者となる先生ミス・ハニーの悲惨な身上等
児童書にしてはシニカルなテーマがあるがそういったものもひっくるめて待っているのは
大逆転の気持ちの良いラスト。いやー面白かった。映画になったら面白そうな場面が
沢山あるので今度は「マチルダ」のビデオを観るのがとても楽しみになってきた。