「エコノミカル・パレス」角田光代 講談社文庫

エコノミカル・パレス (講談社文庫)
部屋のエアコンは壊れ同棲相手は失業中、生活費の負担に悩む34歳で雑文書きの「私」。
買い物の商品名、数や金額を細々と書いているのがセコくて面白いがこれは「私」の自由を
束縛された状況の描写にもなっている。彼女が脱出しようとしているのは経済的な困窮以上
に苛立たしい日常である。どこに向かえばいいのか判らない閉鎖感というのが良く出ており
必死にあがく「私」にとともに迎えたラストシーンではまるで知らない町に放り出された
子供のような気持ちになる。