2005-11-21 「だれかのいとしいひと」角田光代 文春文庫 読書 全8編の短編集。ドラマチックな筋書きのものは一つもないがどの作品にもちょっとした 出会いやごく当たり前の風景が閃光のごとく焼きつく瞬間がある。身近な日常や人との 関わりは偶然と運命の大きな流れの中にあって実は儚いものだと言う視線があり、儚いが ゆえに描かれる光景の一瞬一瞬が輝きお気に入りの風景画のように愛おしい。失う余韻と 出会う喜びをさざ波のように繰り返し味わい読み終える。