「柳生薔薇剣」荒山徹 朝日新聞社

柳生薔薇剣
「柳生の里」を見物しながら読もうと思い持っていった本だけど結局帰ってから筋肉痛に
悩まされつつ読んだ。柳生十兵衛の姉、柳生矩香が主人公。この女剣士が十兵衛よりも
強いわ凛として美しくかっこいい。背景のシチュエーション作りも上手いし剣戟場面は
切れ味良く朝鮮妖術師まで登場。風太忍法帖ばりのファンタジックな闘いがあって
盛り沢山。テンポもあって読ませる。後半、伝奇的趣向がぐいぐい膨らんでくるのに
バタバタと終わってしまうのが残念。この辺もっと書き込んでくれたら面白かったんだが。
なによりも悲しむべきことは、わざわざ「柳生街道」を歩いてきて雰囲気を味わおうと
楽しみにしていたのに、この物語のほとんどが「鎌倉」で展開することである。