何故おれは三日間寝込み一週間近く無気力状態に陥ったか?

uminekob372005-09-29

奈良の旅行ガイドを繰っていたら「柳生街道」というものを見つけた。歴史に名をきざんだ
剣豪たちが往還した道だそうで「柳生の里」には「旧柳生藩家老屋敷」「旧柳生陣屋敷跡」
があるそうな。山田風太郎柳生十兵衛」3部作が大好きだし最近は時代小説を中心に
読んでいて柳生は何度となく出てくるからぜひ、行ってみたい。散歩がてら出かけて
こよう。そう、思った。これが間違いの始まりだった。近鉄奈良駅からバスで移動、標識に
従って午前10時ごろ柳生街道に入る。なんとなく想像とは違う道ではあったが山歩きも
いいかと思い歩き続けた。歩くこと約2時間、道は開けるどころか険しさを増すばかり。

…これって「街道」というより「峠」じゃないのか!?人を見かけることは一度も無く
思いっきり軽装で準備もしておらずたまたま登山靴を履いていたので滑りやすい足場は
何とかなっても上り坂が続き足は棒になる。写真は明るくて足場の良い所で撮ったが
実際はもっと薄暗く不気味。ここにいたって来たこと後悔しだす。

峠茶屋がありここでジュースを買いやっと飲み物が飲めた。これ以降は道も少し開け
田んぼや畑、民家もちらほら見かけるが生活臭があるのにほとんど人と出会うことが無く
まるで神隠しにあったようでちょっと怖い。この後何度となく「峠」や「雑木林」を出たり
入ったり。えんえん殺伐とした光景を眺めながら歩くこと数時間。

食事など当然できるはずがなく時折心洗われるような風景も無いでは無かったが空気が
湿り始め霧が出だしたので心は不安に包まれそれ所ではない。早く街道を出たくて休憩を
せず歩いていたのだがとうとう雨が降り出しいよいよ止まることが出来なくなった。
ズブ濡れになりながらも無理に足を運ぶと蜂には追われる、道は蛙だらけで跳ね回る、
野生のイタチが草むらから飛び出すにいたっては生命の危機さえ感じ正直泣きそうに
なった。なんとか夕方までには「柳生の里」には出たものの足の筋肉は悲鳴を上げており
「柳生屋敷」に行く気力はすでに無い。バス停があったのでこれで帰ろうと思い
(というか、そもそもバスで柳生までくれば良かったんじゃ…)時刻表を見ると次のは
なんと1時間半後!帰宅すると倒れるように眠り込み目が覚めると全身もの凄い筋肉痛。
立ち上がるのも辛いのでしばらく布団から出られなかった。というわけでかなり辛い行程を
一人で(誰が一緒に来るんだ、こんなとこ)歩いてきたのですが今考えると乗り物や
コンビニ、自販機もない、それこそまるで時代小説に出てくるような道中は貴重な得難い
体験だったんじゃないかと思います。しかし「柳生屋敷」は改めて行ってみたくても
おれが「柳生街道」を歩くことはもう二度と無いであろう。