「流れ星におねがい」森絵都 フォア文庫

流れ星におねがい (フォア文庫)
小学四年生の桃子は運動が苦手なのに運動会のリレーの選手に選ばれ、じゃんけんにも
負けて選手をまとめるリーダーにまでされてしまう。他の3人は協力してくれないし
困った桃子はそんな悩みを用務員の仙さんに打ち明けるのだが…。1995年の作品で最近の
「いつかパラソルの下で」と比べるとストレートな話だし児童書なのであっという間に
読める。早く読めても濃密な時間を過ごせるのが流石で特に仙さんがいつもお祈りを
している「流れ星」の正体には4人の子供たちと一緒に感動させられた。リレーの寸前に
なって桃子がやる気を無くしたりチームワークがバラバラなまま、といったオフ・ビート
面白さがここにもある。最後の表彰式で起こる出来事はちょっと枯れた味わいが面白い
森絵都の大人向けの作品とはまた違って熱いものがこみ上げてくる。本文が終わって
見開きのイラストを見ると優しい気持ちになれるね。