「死神の精度」伊坂幸太郎 文藝春秋

死神の精度
7日間、対象の人物を調査し「死」を実行するのに適しているかどうか判断し
報告する「死神」。その死神の一人である千葉。彼の視線から語られる6つの人間模様。
  

表題作は日本推理作家協会賞を短編部門で受賞している。
どの作品にも魅力的な謎があり、収録作中、「吹雪に死神」は、なんと閉ざされた洋館での
連続殺人を扱った堂々たる本格推理もの。ミステリーとしても面白い内容だが作品の焦点は
各作品に登場する魅力的な人物の人情ドラマに合っている。語り手の死神がクールで
ひょうひょうとしているからお話に臭みが全く無いし、千葉の人間ズレしたところが
ユーモラスで良い意味での軽さが出ておりハードボイルド小説にも似た雰囲気がある。
この本、装幀が素晴らしく文藝春秋のページに
http://www.bunshun.co.jp/accuracy/index.htm
この本が作られるまでの話が書いてあり興味深い。特に表紙は最終話「死神対老女」の
印象的なラストシーンを読んでいるときに鮮烈な青が目に飛び込んでくるような
気がしたよ。読み終わって見直してみるとこんな場面は無いんだけど本の内容に
ぴったりの良い写真だと思います。

 話は逸れるけれど、こんなことを聞いた。
「レコードのジャケットに凝るくらいなら、曲を良くしろよ!」と、あるパンクロッカーは、メンバーに怒鳴った。
「うるせえな。曲が悪くても、レコードのジャケットが良ければ、誰か一人くらい、騙されて、買うんだよ」メンバーはパンクロッカーに言い返した。らしい。

そういや伊坂幸太郎の「重力ピエロ」ジャケ買いしてそのまんまだったよな。
ジャケだけじゃなくて内容が面白かったら次も読みたくなるわけで
今後は伊坂作品、本腰入れて読むつもり。