「タフの方舟1 禍つ星」ジョージ・R.R.マーティン ハヤカワ文庫

タフの方舟1 禍つ星 ハヤカワ文庫SF
超巨大宇宙船〈方舟〉号を操り惑星環境改造を売る宇宙商人、ハヴィランド・タフの活躍。
SFを読みたいという気持ちが久しぶりに燃え上がってきて新刊を買ってみたらいきなり
こんな面白い作品にぶち当たるとはありがたい。「身の丈2メートル半、福禄寿と布袋尊
合体したような体型に、全身純白で無毛」という異様な外見、馬鹿丁寧で嫌味な話し方を
するタフのキャラクターが面白い。一本気な正義の味方キャプテン・フューチャー
後だと、なおさらこの屈折した人物像が味わい深く読めてしまう。全3編収録の連作集で
表題作「禍つ星」はタフが〈方舟〉号を手に入れるまでの話。幾十にも罠の仕掛けられた
巨大な宇宙船の中で曲者揃いのライバルをタフがいかに出し抜くかというもの。
第2話「パンと魚」は宇宙港でのタフとポートマスターの駆け引き。このポートマスターが鉄火肌の婆さんで、迎え撃つタフの嫌味が可笑しい。第3話「守護者」惑星ナモールの
環境改造にタフが挑む。海上から巨大生物が大量発生して惑星全土で大暴れっていうのが
もの凄いイメージで映像で見てみたくなる。どのエピソード名前と違って腕力を使わず
嫌味に解決しちゃうんだけどタフが大の猫好きというのがなんともいい味を出している。
5月下旬には完結編「タフの方舟2 天の果実」が出るので楽しみだ。