「デセプション・ポイント」上下 ダン・ブラウン 角川書店

デセプション・ポイント 上デセプション・ポイント 下
ダ・ヴィンチ・コード」のダン・ブラウン最新作。珍しく話題の作家に手を出してみた。
ラングドン教授シリーズでは「天使と悪魔」は読んだが「ダ・ヴィンチ・コード」は未読。
大統領選の渦中、NASAが北極で大発見をする。直々に大統領から呼出されたことから
「科学的大発見」の真相を追うことになるレイチェル。一方、事件の裏にある謀略を追う
破目になった対立候補の秘書ガブリエール。二人の女性の視点から物語は綴られている。
世紀の「科学的大発見」が何なのかが明かされるのがやっと上巻の半分でえんえん大げさに
ハッタリめいた描写が続き、お話が全く動かないのは正直キツい。下巻ぐらいから伏線が
動きだし大統領が「大発見」をテレビで発表するくだりから盛上がってはくるが
「この後驚くべき展開が!?」てな場面になると主人公の視点が入れ替わり御預けを
食らわされるのはイライラする。物語に引き込ませるテクニックではあると思うけど、
何度も同じ手ばっかり使われるとたまったもんじゃない。さんざん引っ張っておいてCMと
いった今時のテレビ番組みたいな語り口。「天使と悪魔」はハッタリめいた語りが上手く
はまってて楽しく読めたがこれは水増しが多く頂けない。薀蓄の部分は面白く読める
ものの描写がまるっきり弱くアクションシーンに迫力がないし、お互いが惹かれあう描写も
ほとんどないのに男女が結ばれておしまいでは読んでるほうが恥ずかしくなる。
ダン・ブラウン、ちょっと底が見えちゃったかな?