「ローレライ、浮上」福井晴敏、樋口真嗣 講談社

ローレライ、浮上
小説家・福井晴敏と映画監督・樋口真嗣が出会い映画のプロットを共同で創り始めてゆく。
それは小説「終戦のローレライ」と映画「ローレライ」として結実するのだが二つの作品が
誕生するまでの過程を対談の形で綴った内容。これを読むとなぜおれが映画を小説と
切り離して観ることが出来なかったのかがよく判った。完成の時期は違ってもどちらの
作品も同時進行で創造されており小説の方も樋口真嗣のアイデアや意志が込められていた
わけだったのか。映画はつまらなかった、あるいは観る気がないという人も小説版の方の
終戦のローレライ」が好きならこの本は読む値打ちがある。これは「終戦のローレライ
の綿密なメイキング本でもあるのだから。落丁があったとかで発売が遅れ、この本を
買ったのは映画の公開直前だった。流し読み程度にして映画を観たけれどそれは正解で
熟読してたら作り手側に感情移入しすぎ、とても冷静に観れなかっただろう。もともと
冷静じゃなかったけどさ。