「グース」 ＡＢＣテレビ

キャロル・バラード監督。交通事故で母を亡くしたニュージーランドの少女エイミーは親の
いない渡り鳥、グースの卵を見つける。産まれた16羽の雛はエイミーを母親と慕い成長。
渡りの季節は近づいたが渡りを教える母鳥がいない。そこでエイミーの父親は仲間と
軽飛行機とグライダーで南に誘導する計画を立て、グースと共に500マイル南へ飛び立つ。
大阪ローカルの放送だったのかな？これは。予告ＣＭで見た飛行場面が印象に残っていた
のにそのまま忘れてしまっていた映画。実話の映画化であり、父と娘、動物と少女の交流
といったいくらでもお涙頂戴な展開が出来そうな話を作り手に節度があるのかあっさりと
仕上げた結果とても爽やかで気持いい作品になっている。大詰めは時間内に目的地に
着かねばならない、という制限もありその辺を押して盛り上げてもいいような気もするけど
摩天楼の谷間や湖の上をグースの編隊が飛翔する映像の美しさもあって観ているだけで
じんわり感動が込み上げてきた。ＣＧや合成などの特殊効果は使わず撮影されたらしい。
西村寿行の短編「妖獣鬼」(短編集「捜神鬼」収録)ってのがあってタイトルはおどろしい
けど産卵に海に帰ろうとする蟹を応援する素敵な話でこれを思い出した。これも壮快な
読後感を残す作品でなにより「捜神鬼」そのものが逸品揃いの動物小説集でお薦めです。