「オールド・ボーイ」

オールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]
パク・チャヌク監督チェ・ミンシク主演。シネカノン神戸にて鑑賞。おれは日頃、
出不精なので神戸に行くのも簡単なことではない。ホームは間違う降りる駅は通り過ぎる
(車両の中で本読むのでよくやってしまう…)降りたら劇場にたどり着かない、方向音痴にも
困ったもんでこれのせいで免許取っても車の運転はせんのだ。よせばいいのに本屋を
見付けりゃあつい立読みしたりで上映五分前に劇場に入る。
1998年、平凡なサラリーマン、オ・デスはある日突然小部屋に監禁される。
開放されたのはなんと15年が過ぎた2003年―。誰が何のために?オ・デスの追求と復讐が
始まる…ってこの粗筋も三回目だな。つい最近原作漫画を読み主人公の精悍さを見たばかり
なので冒頭、オ・デスが冴えない風貌で登場し酔いどれてるのはインパクトがあった。
開放後、すっかり引き締まった体に変貌しているのも凄い。拷問場面、大勢のヤクザを
たった一人で倒すところ(長回しのワンカットで撮ってる!)エロチックなベッドシーン等
どれも生々しく圧倒される。より映画的な感動を受けたのは学生時代の回想場面の斬新な
処理、そしてオ・デスの復讐行と見えた物語が最後で鮮やかに反転するところである。
特にこの部分は小説、原作漫画と比べても映画がもっとも素晴らしい。ノベライズを読んで
内容を知った上でも真相が明かされる瞬間には寒気がした。タランティーノが絶賛と
いうのも納得がいく作品で暴力描写、スタイリッシュな映像やトリッキーな物語といった
通じるものがある上、他人の行動を嘲笑ってるような視点がよく似ている。
まだタランティーノの場合、脳天気だから笑いが産まれるけれど「オールド・ボーイ」は
陰湿残忍で、くすんだ色調の画面ともの哀しい音楽もあって悲劇的になる。オ・デス役の
チェ・ミンシクは見覚えあっても思い出せなかったが「シュリ」北朝鮮工作員役だったと
いうのを知り納得。主役でもないのに一番存在感があったもんなあ。ノベライズ、原作漫画
そして映画、と順番は前後したけど「オールド・ボーイ」それぞれの味わいが楽しめた
タイトルだった、と思いつつ帰りの電車に乗り気が付くとユニバーサル・シティ駅だった。
なんでこんなところに着くんだよ!!!