矢野徹氏逝去―「カムイの剣」の思い出

高い砦 (ハヤカワ文庫 NV 216)カムイの剣 (ハルキ文庫)カムイの剣
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矢野徹氏(やの・てつ=作家、翻訳家)13日午前7時58分、大腸がんのため東京都内の自宅で死去、81歳。松山市出身。

 海外のSFを多数翻訳、紹介する一方、創作も手掛けた。日本SF作家クラブの創立に参加するなど、日本のSF界の発展に尽力した。1985年には優秀な翻訳家に与えられる「チャペック賞」を受賞した。

 主な作品に「カムイの剣」「折紙宇宙船の伝説」、翻訳に「宇宙の戦士」「デューン砂の惑星」など。

ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」やデズモンド・バグリイ「高い砦」など
SFや冒険小説等の翻訳で親しんできましたが、なによりも忘れられないのが
カムイの剣」で奇怪な忍法合戦あり壮大な宝探しありの盛だくさんな内容で一冊の文庫
なのに大河長編を読んだ気さえする小説で宿命を背負った少年忍者が幕末の日本と
アメリカをまたにかけて冒険する。角川文庫版の解説で星新一
「日本人作家の冒険小説でベスト5に入る傑作」と大絶賛してたけど中学生の時に読んで
「こんな面白い本があるのか!」とたまげたものです。これは角川映画でアニメ化された
ことがあり原作のエピソードを詰めこみすぎで傑作になり損ねてるのが惜しいけど重厚な
ビジュアルと斬新な音楽は現在でも見応えは充分あると思います。小説作品はほとんど
絶版ですが「カムイの剣」はハルキ文庫版がまだ書店にあると思うので一読をお薦め
します。おれは時代伝奇活劇が大好きなジャンルなのですが、きっかけはこの本だった
のかも知れない。ご冥福をお祈り申し上げます。