「ヴァイブレータ」赤坂真理 講談社文庫

ヴァイブレータ (講談社文庫)
語り手はフリーライターの女性。冒頭「あたし」の自虐的で爛れた生活と、
悲鳴をあげんばかりに追いつめられた精神状態が(彼女は幻聴にも悩まされている)
畳み掛けるような文章で一気に綴られる。コンビニで知り合った男のトラックに便乗、
男と会話やセックスをしたりしながら車に揺られてる内に「わたし」がなんらかの安らぎを
得るまでの4日間の旅路がこの本のお話。粗筋にしてしまうとシンプルだが何気ない会話が
エロチックで官能描写の触感、トラッカー無線の会話の生々しさ等、感覚的な描写が繊細。面白いと思ったのが無線の部分でニックネーム名乗ってたり(いわばハンドルネームだな)こっそり違法なことしてるとか、いろんなチャンネルが抗争してたり…へぇー、ネットと
似たような事やってるんだね。文体に乗せられて一気読みしたけど「わたし」と同化して
読めたか?というとイマイチでこの書き方はなんとなく女性の生理に訴えるような
気がする。それにヴァイブレータって女性喜ばせる物でしょ?