「CASSHERN」日曜洋画劇場

CASSHERN [DVD]

そこはアメリカが存在しない世界。大東亜連邦共和国遺伝子工学の権威・東博士(寺尾總)は人体のスペアパーツを可能とする新造人間の開発に勤しんでいたが、その結果生まれたブライ(唐沢寿明)は人類に宣戦布告。博士は、自分に逆らい戦場に赴いて戦死した息子・鉄也(伊勢谷友介)を新造人間としてよみがえらせた…。

紀里谷和明監督。かなり酷い出来という評判は知っており、それなりの覚悟をして観賞。
未来社会のゴシックなヴィジュアル、色彩感覚はなかなか美しいが映画としての取柄は
この部分にしかない。エフェクトを使った映像に統一感がなく、精神世界のイメージや
回想の場面が多いのに区別が付きにくく大混乱。ロボットの大群が行進する場面は
TVアニメの実写化としては嬉しくなる映像ではあった。アクションが始めるとカットの
繋ぎが不自然な上に持って回った演出で判りにくい。登場人物が演説のような長台詞を
喋るのに何を考えてるのかどういう感情を持っているのかが全く判らず置いてけぼりのまま
音楽だけが感情的に高まる。訳が判らないだらけの作品でも紀里谷監督が全力でメッセージを伝えようとしていることは理解できる。そのメッセージが「戦争は悲惨だから止めよう」
という程度なのは困るしポエムのように陶酔しきった台詞で聞かされてはたまらん。
筋書の判りにくさは放映時間に合わせたカットのせいもあるとは思うがこれより長尺の
ものを観る気にはとてもなれない。