「シン・シティ」

シン・シティ プレミアム・エディション [DVD]
天王寺アポロシネマ8にてレイトショーで観賞。グラフィックノベルシン・シティ」を
ロバート・ロドリゲスが原作者のフランク・ミラーと共に監督した作品。特別監督として
クエンティン・タランティーノも参加している。憎しみと裏切りが渦巻くシン・シティ
舞台に3つのエピソード交差させて描く男たちの闘い。それぞれの物語はギャング映画や
古典的なハードボイルド小説によくあるものだが暴力描写が凄まじく、スプラッターホラー
映画並みのエグい残虐場面が頻出。出てくる人物も皆、サディストで常に画面では誰かが
殴られるか殺されるかしている。モノクロの画面にパートカラーで色が付けられており唇の
赤、炎の赤、血の赤が強烈な印象。全編暴力によるショックばかりで画面を持たされると
馴れてきてダレるし千切れた手足や死体を弄ぶような描写でユーモアを出そうとするのは
グロテスクなだけで引いてしまう。個性的な役者が大勢出演し、濃い演技を見せてくれてる
けど普通の人ってもんが出てきてくれんとかえって異常性が伝わってこない。
各パートの主人公(ミッキー・ローククライヴ・オーウェンブルース・ウィリス)には
行動の動機に純な愛情がありそこを描こうとしてはいるものの、どこか饒舌すぎてまったく
台詞のないイライジャ・ウッドの殺人鬼や黙々と日本刀を振り回すミホ(デヴォン青木)の
方に魅力を感じてしまう。まるで激辛カレーみたいな映画だった。スパイスが効きすぎで
刺激はあるが肝心の具の味がまるで判らない。