「戦国自衛隊1549」福井晴敏 寺田克也・画 半村良原作 角川書店

戦国自衛隊1549
陸上自衛隊で秘密裏に行われた人工磁場発生器の実験中、暴走事故が発生。的場一佐
率いる第三特別混成団は時空の振動によって戦国時代にタイムスリップしてしまう。
過去への干渉のためか虚数空間が現代の日本各地に出現し侵食を始める。防衛庁
現代の消失を止めるべく2度目のタイムスリップを決行。救出部隊ロメオ隊に与えられた
時間は74時間26分。行先は1549年の戦国時代だった。本を取ってみたらなんと横開きで
寺田克也のイラストが大量に盛り込まれていてビジュアルブックのような作り。奥付を
みるとこの本にも樋口真嗣アートディレクションで参加している。福井晴敏の小説と
してはコンパクトな中篇といったもので2時間ぐらいで読めた。半村良オリジナル版の
小説ではほとんど流されていたアクション場面もこちらは派手にやっている。
オリジナルにあった「自衛隊が戦国時代で歴史に何をさせられるのか?」という
メインアイデアの部分も踏襲しており大胆にプロットをいじってる割りには半村版の良さを
上手く引き継いでいる。お話がセコくなった気がしなくもないけど映画にするのなら
このくらいがいいのかもね。小説としては福井晴敏独特の作品の中で演説してるような
ところや必要以上に暑苦しい台詞回しが悪目立ちしてるようにも思えた。一部の登場人物の
行動も唐突に感じられる部分もあるしね。分量のある作品だったら書き込みで
納得させられるのが福井晴敏の作風なんだがそうなると「ローレライ」みたいに映画の方が
いびつになるから難しいもんだよな。横開きだし最後のほうはイラストの上に本文が
あるのでちょっと読みにくかった。この小説が原作の映画は6月11日から公開予定。
映画「戦国自衛隊1549」オフィシャルサイトhttp://www.sengoku1549.com/pc/
こっちは「ローレライ」ほど思い入れがないので観に行くかどうかはまだわからない。