「CIA桂離宮作戦」多島斗志之 徳間文庫

CIA桂離宮作戦 (徳間文庫)
極寒の地シベリアを肥沃な土地に改変するソ連の気象改造計画。情報を察知したCIAは
日本の内閣情報調査室とともにソ連国家計画委員会議長を来日中に誘拐し訊問する作戦を
立てる。作戦は京都の桂離宮において決行されるが…。もともとノベルズで刊行された
作品なので官能場面が無理に挿入されていたり枚数の制約もあってか人物描写、会話に
膨らみが無いのがなんとも惜しい。複雑な人間関係がからみ、予想外の事態に二転三転する
作戦実行のくだりは分量に余裕があればもっとスリリングだったんじゃないかな。それでも
作者は手を尽くしており冒頭でぶちかます気象改造計画の大ハッタリ(ほとんどSFだね)
最後の最後に見事に決まる大技はミステリーを読む醍醐味を感じさせる。多島斗志之
サスペンスアクション仕立ての「クリスマス黙示録」は読んだことあるけどこちらは全編が
頭脳戦。仕掛けが大きいだけに最後の一撃が効いてくる。