「CSI:科学捜査班―ダブル・ディーラー」マックス・A・コリンズ 角川文庫

CSI:科学捜査班―ダブル・ディーラー (角川文庫)
マックス・A・コリンズは本国アメリカじゃ実力を評価されているミステリ作家だ、
というのは知っていてもオリジナル小説がほとんど翻訳されていない。そのかわり
大作映画のノベライズはたくさん書いていて映画の公開に合わせて翻訳がよく出ている。
読んでみたら独立した小説として読めるものに仕上げている。「ウィンドトーカーズ」は
映画よりずっと面白かったし、小説版「ダーク・エンジェル」はジェイムス・キャメロン
製作によるTVシリーズの前日譚を描いたものだが続きが気になってレンタルビデオ店
駆け込むはめになった。こういうわけでコリンズの筆によるノベライズは映画に興味が
なくても「コリンズの小説」という意識で買っている。この「CSI:科学捜査班」も
TVシリーズを元に書かれたノベライズ。ハイテク技術を駆使し専門家たちが微小な
証拠から犯人を追いつめて行く、というもの。デティールはみっちり書かれノベライズの
安っぽさが全く無いし弁護士の射殺事件と15年前に失踪した男の遺体が銃弾の射入口から
時を越えて一本の線に繋がっていくお話はミステリーとして良くできている。CSI
メンバー、6人を一冊の本ではもてあまし気味なところもあってチームの主任は昆虫学の
権威なのだが全く捜査に昆虫学は関わってこないし元ストリッパーの女性が血痕分析を
してるというのも面白そうなのにいまいち生かされていない。その辺はドラマの方が
展開しやすそうだからそっちで楽しむべきかも知れない。
ST 警視庁科学特捜班 (講談社文庫)
ハイテク捜査班の活躍を描いた同趣向の小説は日本にもある。今野敏
「ST警視庁科学特捜班」がそれで、うーむタイトルまでそっくりだ。