「カーマロカ―将門異聞」三雲岳斗 双葉社

カーマロカ―将門異聞
平将門は未だ生きて甲斐にあり」940年承平・天慶の乱で死んだはずの平将門は異国風の
美女と貴族風の男を伴い甲斐の国に出現。朝廷は追捕氏、僧兵、らを追っ手に差し向ける。
装丁は地味だが中身は骨太の大活劇。矢が飛び交い騎馬が駆け抜ける黒澤映画ばりの
アクションが連続するので一気に読めた。将門を襲う敵には奇怪な幻術を使うものも
いるけれど理にかなった仕掛けがちゃんとあり現実に足が着いた描写をしている。いかに
相手のトリックを見破り弱点を突くか?という攻防も面白く特に将門と陰陽師賀茂保憲
の対決は幻想的でありながら互いの知力をふりしぼった闘いになっており全編の白眉。
お話は能登に向かう将門の追撃戦がメインでシンプルなものだが多彩な人物が登場し
それぞれの思惑が絡んで壮大なものになっていく。ラストシーンが近づいてもお話が閉じて
いかず終章でさらに大風呂敷が広がっていくのには歴史伝奇ロマンを読む醍醐味を感じた。