「乱華八犬伝」天の巻 地の巻 鳴海丈 徳間ノベルズ

乱華八犬伝 天の巻 (トクマ・ノベルズ)乱華八犬伝 地の巻 (トクマ・ノベルズ)
鳴海丈は以前読んだ「修羅之介斬魔剣」が面白かったし、この作品は「八犬伝」をベースに
した時代伝奇小説らしいから期待して買ってきてみると濡れ場のイラスト満載。こりゃ
時代官能小説だったのか!?と思って読んでみるとそれだけの内容じゃなかったので一安心。
官能小説だったならそれなりに楽しんで読むけどね、この人の書きようはサディスティック
で苦手なのだ。構成はほとんど連作長編で御家再興の悲願を持つ青年剣士、出雲京四郎
(もちろん美形)が埋蔵金三百万両を探す道中のお話。手掛かりは八人の生娘の胎内に宿る
宝珠というわけで毎度濃厚な官能場面があり行く手を阻む組織との殺陣ありの内容。要は
エロスとバイオレンスが売りでスポーツ新聞の連載小説の雰囲気だな、これは。一気読み
すると同じパターンが続くのでちょっと辛いものがあるけど合間の時間にちびちび読んで
いく分にはちょうどいいかもね。コンパクトに時代伝奇小説の読みどころは収まってる
訳だし。通勤電車で読むのはエロチックなイラストが見開きで出てくるので無理か。