「オールド・ボーイ」土屋ガロン・作 峯岸信明・画 双葉社アクションコミックス

オールドボーイ―ルーズ戦記 (8) (Action comics)
平凡なサラリーマン、五島慎一は理由も分からず謎の監禁施設に幽閉される。
十年後、突然開放された五島は自分を陥れた男を探し出そうと決意する―
コンビニ版のコミックスが全4巻で出てたので早速読んでみる。映画は未見なので大石圭
小説との比較になっちゃうけど原作のコミックでは舞台が日本で登場人物も日本人。小説の
主人公オ・デスが精神的にもろい部分を持った男だったのに対し五島はあまり感情を表に
出さず終始冷静ではじめから精神的にも肉体的にも強い男として登場する。意外だったのは
劇画タッチで出てくる人物も男くさいのに暴力沙汰がほとんどないことで真犯人は物語の
前半で姿を見せる。ここからの展開は五島と犯人の心理的な駆け引きを中心とした戦いに
なっていく。「ルーズ戦記」という副題通り、直線的な復讐物語にならないのが不思議な
面白さで監禁の動機も意味も違うものだし(漫画では監禁10年、小説では15年でこの期間の
変更にも重要な意味がある)ラストは全く異なった場所に着地する。小説からどんどん
物語が離れていくあたりはスリリングで(漫画のほうが原作だってば)犯人像も漫画のほうが
おれの好みだった。小説、漫画とそれぞれの味わいを楽しめたので映画の方も早く
観てみたい。どっかで再上映してくれんかな。